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ミーハーに生きてる。アイドルとミュージカルが好き

人生たのしんだもん勝ち -舞台「NOISES OFF」

WEST.(旧 ジャニーズWEST)の藤井流星くん主演舞台「NOISES OFF」を観てきたよー。森ノ宮ピロティホール

 

藤井流星くんxコメディという未知数の世界。普段コメディやお笑いを好んで観ないので観る前はモゾモゾしてたけど、おもしろかった!劇場が観客の笑いで満ちるのって、なんだか海外みたい。わたしも遠慮なく笑わせてもらいました。

忘れないうちに感想を。以下、ごりごりネタバレしてます。

noises-off.jp

 

 

標準語と関西弁の使い分けが天才

元々予習魔なのもあるけど、公式HP見てもどんな内容になるのか想像がつかず、その上3幕モノと聞き、大焦りしながら事前にストーリー調べて相関図を整理。したのだけど、役者の人間関係も役の人間関係も複雑に入り組んでいて、いやこれ無理!ついていけないかもー!とヒヤヒヤ。でも流星くんや演出家の森さんのインタビューを読み漁ってたら、森さんが 特に伝えたいメッセージとかはない、役者のムチャクチャなエネルギーを受け取って、人生に刺激を与えるカンフル剤にしてほしい、というようなことを仰っていて*1、それを読んで初めて、あ 気張らずに観てよいんだ、と肩の力を抜けたところがある。

で、1幕を観て、感動!!標準語と関西弁の使い分け天才じゃん~~!演技中は標準語、それ以外はすべて関西弁(流星くんに至っては流星役のとき必ず眼鏡も外す)。この演出のおかげで、台詞パートがくっきり浮き上がってスッと頭に入ってくる!めちゃくちゃ!わかりやすい!!そしてこれが2幕以降に活きてくるのだ~!もし全編標準語だったら、展開のスピードと情報量に圧倒されて絶対ついていけなかったとおもう。発想が、天才。

そして演出家の伊礼さんだけそのルールを逸脱させたのが、本当に!うまい演出!!わたしだったら(わたしだったら?)絶対統一しちゃうもん。仮にそうしてたら、あざとすぎるし、関東人のわたしからすると妙な疎外感を感じて入り込めなかったような気もする。

オリジナル版ってどうなってるんだろう。イギリス産だからBWでやるときは米国英語と英国英語で分けてもおもしろそう。使い分けが一切なかったら、それはそれで役者にも観客にも負荷の高い劇だけど、ストーリーが頭に入ってる今なら、怖いものみたさで観てみたい。

 

観客を引き込む空間の使い方とストーリー構成

劇場全体を舞台として使ってるのが新鮮でおもしろかった。客席を使うのは予習してたけど、それでも伊礼さんと山路さんが客席から現れたときには、舞台空間が広がったのがわかってハッとした。1幕で8割方客席にいる伊礼さんを観て、演出家ってああやって客席を歩き回ったり、位置を変えて座ったり、ステージにあがって役者をなだめたりおだてたりブチギレたりしながら指導してるんだなあ~と地味にテンションもあがった。

3幕モノと聞いていたけど、ロビーの張り紙で、1幕(70分)→ 休憩(20分)→ 2幕&3幕(80分)という構成なのを知る。これ、本当にわくわくする構成だった!1幕は初演前日のゲネプロ。幕を下ろしてゲネプロ終了と同時に「休憩ー!」の台詞で休憩に突入(うますぎる)。休憩中に1幕のセットを180度回転し、休憩途中から幕を開ける。2幕は公演の開演5分前から終演までを、舞台裏の様子を中心に展開。舞台側の光景が、少しだけセット1階の窓から見えるようになってるのが絶妙でおもしろい。2幕後は、今度は幕が開いた状態のままスタッフが登場し、セットを180度回転。転換の途中で幕が下りて、最終公演の3幕が開始する、という流れ。セットの作りが細かく見れるから、休憩中に幕が開いてるのが嬉しかった。小道具とか鏡とか衣装とかそんなところにあるのね~!扉の裏はそうなってるのね~!とか、観察してるだけでときめく。舞台セット表も裏も凝ってたからじっくり見たいし解説とか聞きたいやつだった。表のセットの2階に飾ってある絵は2枚ともゴッホの設定なのかな、ブレント夫妻がヨーロッパで集めてきた絵画だろうかとかいろいろ考えて楽しかった。

それにしてもよくできた作品だなと思う。1982年初演ってそこそこ年季入ってるけど、脚本も演出もよく考えられていて、2023年に観ても全然古さがない。設定が舞台の「表」と「裏」だから、同じセットを反転して使えるし、出演者も9人(役者6人+裏方2人+演出家1人)いればそれ以外の出演者は考えなくて良いし。衣装もゲネプロから最終公演まで同じで済むから、基本的には着替えもいらないし。結構節約できそう。全体的に発想の勝利という感じなのが好きだった。

そういえば翻訳者の小田島恒志さんが、パンフでなぜイワシがキーアイテムになっているのかを解説されていて、腹落ちできてとても良かった。日本語で韻の踏み方を考え直すのも、めちゃくちゃ大変だっただろうな~~ キャストの名前を使った言葉遊び(小南→おつまみ)とかあるから、単純な翻訳にとどまらない作業だよね。

ずっと関西弁だから輸入モノであることを忘れさせるような作品で、関西弁の空間掌握力に圧倒されたけど、ちょこちょこイギリスの香りが残る台詞(ハムレットの父親、50ポンド、ロミオとジュリエット...)が違和感なく練りこんであってふふふとなった。唯一、演出家の「神は申された!」って台詞だけ、いきなり場違いな感じで面食らったけど。

 

終始とんでくる圧倒的エネルギー!

頭から終わりまで本当にずっとハイスピードでドタバタしているし、終演に向けどんどん風力増すから後半は台風みたいだった。これどうやって終わるん!?とおもったけど、わらえて気持ちのよいエンドでした。新喜劇もお笑い番組も全然観ないわたしですが、3幕終盤の泥棒のくだりがツボだった!舞台観て涙でるほどわらったのって初めてだよー。幸せです。芸達者な役者さんから圧倒的なエネルギーがとんできて、観客が素直に笑いに昇華する、なんとも満たされた空間だった。ただただ元気になる。あーおもしろかったー!って劇場を後にできる爽快な作品でした。

2幕以降は1幕のインプットが正確であればあるほど楽しめる展開だし、いろんなことが同時進行で起こりすぎてるから2つしかない目では全てを追いきれず、リピしたい!ってなる気持ちがよくわかった。あまり間を空けずに、記憶がフレッシュなうちに、リピしたくなる。

 

芸達者なキャスト陣

粒ぞろいのキャストで誰を観ていても飽きることのない面白さだった。全員、芸達者!個性がぶつかり合って喧嘩することもなく、1つのチームとしてうまく調和がとれているのも伝わってきた。

女性陣は特徴的な喋り方をする役が多いのに、全員声が良く通るしハイパー滑舌が良いから超聞きやすい!あの台詞量をあのスピードで喋ってるのに聞いてる方にストレスがないって凄い。特に印象的だったのは紅ゆずるさん。2幕以降は恐ろしい運動量(しかもヒール!)だったけど、台詞に乱れが無くてずっっっと美しい滑舌とテンポで感動した。役もご本人にハマっていて、見るからに生き生きとされていて良かったです。女が好きになる女。最高。

男性陣も個性的。というか全員全く違うタイプなのが凄い。男女合わせて9人いるメインキャスト、観終わってからそれぞれの特徴を言えるくらい尖った個性を作れるって本当に凄いことだとおもう。激高しやすくて女にだらしない、わかりやすくクズな演出家の伊礼さん、ポスタービジュアルと違うパーマ姿で出てきてびっくりしたけど、頭に血が上りやすい性格を可視化したみたいでわらえた。そしてストレートプレイでも声の良さが突出していて耳福。演出家として客席で演技する時間が長い分、声の存在感も大事な役で、伊礼さんのうまい使い方だなとおもった。わたしは来年のMR!こそ、伊礼デュークを観ねばならぬ。

 

そして流星くん!よくぞ!よくぞ、この役を流星くんに...!発表されたときは、あの天然ぽやぽやの流星くんがコメディを???とおもったけど、流星くんがやるからこそのおもしろさがあった。同姓同名の流星役、流星くんは自分には似ていないと言ってたけど、エネルギッシュで空回りしながら「アレ」を連発して走り回ってる流星役、ぽわんとしてるけど責任感の強いTHE長男気質な流星くんとどことなくオーバーラップするところがあって、独特のおもしろさになっていて魅力的だった。発声と滑舌もバッチリ舞台仕様になっており、恐らく物凄い練習量を経て辿り着いたんだろうなと胸が熱くなる。

晶紀さんとの恋仲を演じるには、流星くんだと清潔感がありすぎるんじゃないかともおもっていたけれど、ピュアで若さのある、良い意味で単純な、わんこのような役になっていて凄くキュートだった!1幕では、稽古が中断するたびに晶紀さんにとんでる矢印が見えたし、2幕以降のジェラシーも、むくれた若さのあるやきもち!という感じで可愛い。へこんでうなだれてるのも、怒り狂って追いかけまわしてるのも、いたずらしてウシシとわらうのも、流星くんにしか出せないピュアな味がしてキュートでした。

ビジュアルも強すぎた。スリーピースのスーツを着た茶髪に金メッシュの流星くんて、あまりに美の暴力。動き回って滴る汗すら絵になる男。足も長すぎて生きづらそう。その長すぎる足を活かしたコミカルな体勢や階段1段飛ばしがなんとも映えてて、眼福でした。

 

それにしても流星くんは、事務所のあれこれで大変な時期に、新グループ名の話し合いを早朝や深夜に行いながら、更に標準語の王道恋愛ドラマ「18歳、新妻、不倫します。」の撮影もしながら、これだけの複雑な台詞や段取りを深夜3時までかけて頭に叩き込み*2、舞台稽古でも森さんが感心するほど朝から晩までフルスロットルで一切手を抜かず*3、時間を見つけてはブログを更新してファンに優しい言葉を届けてくれて、それなのに苦労や心労は絶対に見せることなく、連日舞台で全力で動き回って、カテコでもハケる間際まで隅々に手を振り続けてくれて、そうやって昨日も今日も明日もたくさんの人を幸せにしているの、本当に本当に本当にプロ意識が高すぎるよ。尊敬がカンストして泣けてくる。圧倒的エネルギーを注入されて元気をもらったけど、流星くんの決して見せない努力を想像して、なんだかわたしは流星くんのことを知っているようで知らなすぎたと思わせられた時間だった。

流星くんはインタビューで、ストレートプレイの経験はほぼ初めてだからこそ、やりたいと思った、と言っていた。やったことがないことは、なんでもやってみたい、楽しみたいとも。たとえ失敗したとしても経験したことがすべて肥やしになることをわかっている、圧倒的に俯瞰の視点を持って人生を謳歌しているひとだなとおもう。強くてカッコ良い。

NOISES OFFも、人生の悲喜こもごもをユーモラスに書きながら、どんなに破壊的なことが起きようとも なるようになる、なんだかんだどこかしらに着地するんだから、楽しんでいたほうが良いんじゃない?って心をラクにさせてくれる話だった。2時間50分の舞台を通してとんでくる、人生たのしんだもん勝ち!の「陽」のパワー。なんかそれって常に美しくて綺麗な世界だけを見せ続けてくれる、きらきら輝く流れ星のようなアイドル、藤井流星さんの生き方そのものかも、とおもったりした。

 

楽しい時間をありがとう。
そして大阪千秋楽、おめでとうございました。

東京公演(11/16-29)・福岡公演(12/4-10)とまだまだ公演は続くけれど、どうか誰一人怪我なく、無事に、走り切れますように!

noises-off.jp

*1:出典:STAGEnavi vol.85

*2:出典:POTATO 12月号

*3:出典:STAGEnavi vol.85